エッセイ

10年前と今と、10年後と。

もし仮に。ある朝、目覚めると10年前の世界に戻れていたとして。その足で10年前に住んでいた町を訪れることができるとしたら。そして、その当時の自分に会うことができるとしたら。あなたは自分に会いたいと思いますか? 会ったら何を伝えますか?

自分は自分に、会って伝えたいことがたくさんある。本当にたくさんある。この先たくさんの誤った選択をして、その選択によって非常に苦しい思いをするから。これからの選択を正しい選択にしてほしいと、選択を間違えないでほしいと伝えたい。

いつも一緒にいた仲のよい友達をもっともっと大事にしてほしい。
「薬剤師」という仕事に対してもっと本気で真面目に取り組んでほしい。
副業は禁止だったけど、仕事以外の余った時間とお金をこれからの自分のために贅沢に使ってほしい。
親と腹を割って話してほしい。
あなたの横にいる人はとても大事な人だからないがしろにしないでほしい。
海外旅行にもっと早く、もっとたくさん行ってほしい。
欲しいものは欲しいと言える人になってほしい。

ほら、いくらでも出てくるんだ。
数え切れないほどの「もしこの選択をしなかったら」の世界が存在する。
今の分岐を選んだのは他の誰でもなく当時の自分だ。その選択にあとあとケチをつけたくはないとは思うけど、それでも立ち止まって振り返ってみると出てくる、出てくる。具体的な指示を書こうと思ったら千個は出てくると思う。

そもそも、その千個の言葉を10年前に10年後の自分から言われたとして、言われたとおりにするだろうか。

きっと戸惑いながらも頭では理解をして、心がけようと考えたとしても、日々これらを頭において生活をすることはしないだろう。時折あのときに言われたことが当たってる!と驚いてメモ書きを見返すくらいだろうか。結局のところ、知らず知らずに今と同じ選択をして、そして10年後の今日になってまた同じ後悔を抱くのだろう。

仮に具体的な指示を書きだしておいて、今知っている正解の選択を選ぶことができたとして、さらにそこから分岐する選択を正しく回答できるとは、まるで思えない。

じゃあ逆に10年後の自分から今の自分に対して伝えたい言葉があるとしたらなんだろう。
フリーのライターとして働いている自分にかけたい言葉はなんだろう。
コロナ騒動で国外から呼び戻された自分に伝えたいことはなんだろう。
数年後にチャンスが訪れるから今のうちにこの勉強をしとけとか、このイベントで人生が変わる出会いがあるから参加しておけとか、この日にあいつに会わなかったら今後一生会うことがないままになるから会いに行けとか、運命の人にはもう出会ってるから気付けバカとか、
きっとかけたい言葉が千個はあるだろうな。

未来からみた今の自分はどう見えてるかな。100点満点中で何点の人生を送っているだろう。少しでも後悔の数を減らせているといいな。それを大切な人の横で二人で同じワークをしながら笑い合えていたら、もっといいな。

あなたが思う10年後のあなたは、あなたに何を伝えるだろうか。この記事を読み終わった後に少し立ち止まって考えて見て欲しい。少なくとも、案外面白い。

未来の自分の言葉に耳を傾けてみると、もっと「今」を大切にできるはず。